曲げわっぱとは

曲げわっぱの歴史
秋田杉で曲物が作られるようになったのは約1300年ほど前。大館郷土博物館には推定10世紀初頭に制作された曲げわっぱが所蔵されており、驚くことに現在とほぼ同じカタチをしています。産業として確立したのは17世紀後半頃。大館城主佐竹西家が下級武士の副業として奨励し、発展していきました。1980年には国の伝統工芸品にも指定を受けるなど、秋田を代表する特産品へと成長。現在では、従来の製品に加え、現代の暮らしに寄り添った曲げわっぱが作られています。
職人による丁寧な仕事
曲げわっぱの部材は、杉材の中でもっとも美しい木目をもつ年輪の柾目を使用します。その柾目部分を薄く剥ぎ、熱湯につけて柔らかくしたものを、型に合わせて素早く曲げて乾燥。乾燥させた曲げわっぱを、桜皮で縫い留め、底面をわずかな隙間もないようにはめ込み、ヤスリをかけて完成させていきます。これらの工程は全て職人による手仕事、曲げわっぱが誕生した当時から変わらぬ技法で、時間と手間を惜しまず一つひとつ丁寧に作られています。
日本各地にはさまざまな曲物がありますが、国の伝統的工芸品の指定を受けたのは大館曲げわっぱのみ。秋田杉の優雅な風合いと温もり、継承されてきた確かな技、それらが日本が誇る逸品を生み出しています。
秋田杉について
秋田県大館市で作られる曲げわっぱは、日本有数の銘木として知られる秋田杉を使用しています。現在流通している秋田杉は、自然の中で育った「天然秋田杉」と人工的に植林された「秋田杉」の2種類。これまで曲げわっぱには「天然秋田杉」が用いられてきましたが、自然保護を目的に2013年3月で伐採が禁止となったことを理由に、原木の在庫利用を除くと今では原材料のほとんどが「秋田杉」となっています。
「天然秋田杉」は日本三大美林のひとつとされ、樹齢は200〜250年・年輪幅が細かく節のない柾目と光沢が特徴です。一方、「秋田杉」は樹齢100年前後のため年輪幅が若干広いものの、近年の「天然秋田杉」に比べ赤みがかった美しい色合いをしています。均一な木目、軽さ、弾力性、心地よい香りはどちらも同じ。曲げわっぱに最適な材であることに、変わりはありません。大館工芸社では計画的な伐採と植林で林を育て、資源確保と環境保全に努めながら製品を作っています。
お手入れについて
正しい使い方と適切なお手入れで曲げわっぱを長くお使いいただけます。
初めてお使いになるとき
製品はすべて製作段階でしっかりと乾燥させ、狂いのない状態でお手元にお届けします。
使いはじめはぬるま湯に数回湯通ししてから、風通しのよいところで乾かしてください。
匂いや汚れの浸透を防ぐことができます。
正しい使い方とお手入れ方法
● おひつを除くすべての製品は、ウレタン塗装をしておりますので、油ものや色素のあるものを入れても、木地に色がうつることはありません。
● 使用後は中性洗剤とスポンジで水洗いをして汚れを落としてください。
● 水洗いした後は、水気をしっかりふき取り、十分に乾かしてください。
ご注意いただくこと
● 直火、電子レンジ、オーブン、食器洗い洗浄機・乾燥機の使用はできません。
● クレンザーや漂白剤、タワシの使用は製品を傷めますので使用しないでください。
● 水やお湯の中に長時間浸けたままにすることはお避けください。
● 直射日光や火のそばに放置しないでください。変形や変色の恐れがあります。
● 金属のカトラリー等は製品を傷つけますので使用はお避けください。
● 木製のお箸等でも底を突くと塗膜がはがれ、水が入って黒ずむことがありますのでご注意ください。
※おひつ製品について
● 塗装が施されておりませんので油ものは入れないでください。
● 使いはじめは木が乾いていると米粒がつきやすいので、内側を十分に水で湿らせてからお使いください。
● 使用後は洗剤を使用せずにスポンジで水洗いをしてください。
● 水洗いした後は、水気をしっかりとふき取り、十分に乾かしてください。伏せておくと湿気がこもり黒ずみの原因となります。
※修理・再塗装について
● 大館工芸社で購入された製品は、修理や塗り直しを承ります。
● 汚れや傷みが気になった際は、まずはお気軽にご相談ください。(修理不可能な場合もございます)